弦楽器 たっぷり、たのしい。
ブログをご覧いただいている優しいみなさまありがとうございます こんばんはFelice音楽教室です今日もハッピーで元気満々です GWも2日目が終了しましたね充実していますか〜〜 4月29日土曜日 高校の音楽部のみんなと本番でした (顔がLINEのメンバーになってます) (会場は相生でした) 嵐などの悪天候が悩まされていた土曜日でしたが、 午前中の練習は公園でポカポカ陽気の中で出来、 歌う本番の時も、全く降らず、 生徒さんと顧問の先生の日頃の行いが良いからですねさすが! 私が1回目に行かせていただいた時は、 まだパート練習だったのに、 約10日間ほどで歌い上げ、昨日の本番で堂々と綺麗なハーモニーで 本番に強い子達だな〜と関心しました また5月も行かせていただくことを楽しみにしています そのあと、5月から非常勤講師をする中学校の先生とお会いし、細かいことを打ち合わせし、 ますますワクワクでいっぱいになりました 4月30日日曜日 朝からお仕事で、結婚式の披露宴でのカルテット演奏でした(ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・ピアノ) べっぴんさんの撮影現場にもなった「ジェームス邸」です 窓のカーテンが閉まっているのから、 カーテンが開くと・・・ 海まで見える絶景です素晴らしい 何もかもがリッチでしたテーブルです 高砂席です素敵 こんな感じで、初めましてのメンバーとは思えないくらい、 楽しく仲良く、カルテットの合わせをさせていただき、感謝しています カルテットで10曲と、ピアノソロ10曲ほど弾かせていただき、 楽しすぎる
弦楽器さまたちとのアンサンブルでした 全く初めましての新郎新婦様なのに、私たちに優しく紳士的に接していただき素晴らしいご夫婦だと思いました もっともっと技術を磨いて、人々にピアノの音色を提供させていただける人間で居たいと思います あと、、、笑アメブロに動画をUPしたいのですが出来ますか?? 明日は、お仕事の方、頑張ってください お休みの方、残りのGWも楽しんでください 今日も1日お疲れ様でした 明日もみなさまにとって幸せ一杯な日になりますように 今日もお読みいただきありがとうございます 現在体験レッスンを無料で行っております。是非お気軽にお問い合わせくださいませ。姫路から未来ある音楽を・・・♪♪♪ 090-6662-3900 Felice音楽教室荒川教室★網干教室 ピアノ講師 渡邊 朋子
弦楽器についてみんなが誤解していること
久しぶりに事例研究です。
ヴァイオリンは古いほうが音響上有利だと言ってきましたが、実際のところはどうなんでしょうか?
100年ほど前のヴァイオリンをオーバーホールする事例を紹介します。
それから、「もっと古いドイツのヴァイオリンVS近代のイタリアのヴァイオリン」についても小ネタ的に紹介します。
こんにちは、ガリッポです。
私が、有名な作者の値段が高いヴァイオリンが必ずしも安い無名な作者の物より音が良いわけではないと言っているのは、日々そのようなことをよく経験するからです。
もちろん値段が高いヴァイオリンがすべて音が悪いと言っているわけではありません。
しかし、もしも「値段が高い=音が良い」と思い込んでいて、安いヴァイオリンをバカにしているのなら考えを改めたほうが得です。何億円でも用意できる人以外は予算が限られているので、予算の中で楽器を選ぶのなら有名であるほど不利になります。
名品が欲しいという気持ちもわかりますが、最低3~4000万円くらいは用意しないと500万円くらいの楽器で作者の名前なんて気にしていてもしょうがないです。
まずはそんな話を一つ。
駆け出しの私が経験した衝撃私も職人として修業して勉強を始めるとイタリアの楽器が一流でドイツの楽器は2流か3流かと洗脳されてしまいました。
まだ新人の頃、私が衝撃を受けたことがありました。
あるお客さんが古いドイツの楽器と近代のイタリアの楽器の両方を持っています。
弦楽器について勉強したての私の興味は当然有名なイタリアの楽器に向かいます。そのヴァイオリンは、ロメオ・アントニアッジ作のヴァイオリンで、本で見て知っています。丸みを帯びていて美しいモデルが印象的でした。
もう一つのドイツの楽器には何の興味もなくわけのわからない古い楽器だなとバカにしていました。
調整のためにそのお客さんは両方のヴァイオリンを弾きました。
私が驚いたのはそのわけのわからないドイツのヴァイオリンのほうが明らかに音量があって、普通に考えれば間違いなく優れているのです。アントニアッジのほうは良く言えばハスキーボイス、普通に考えれば音が出ていません。
そのドイツのヴァイオリンはアーチがぷっくりと膨らんでいるものです。本で勉強したのは「高いアーチの楽器は音量がない」というものでしたから驚きです。
こういう経験は業界に広まっている知識というのがいかに胡散臭いかということに気づかせてくれます。今回、高いアーチの楽器を作っているのもこのような衝撃が忘れられないからです。
私以外の業界の人たちはこういうことに驚いたりしないのでしょうか?
資格やお金にしか興味がなく、こんなことには興味がないのでしょうか?それとも洗脳されきって事実も受け入れられないのでしょうか?初めから本すら読んでいないのかもしれません。
ガリレオやダーウィンのようなことでしょうか?
アントニアッジのヴァイオリンまずはアントニアッジのヴァイオリンから。
ロメオ・アントニアッジ(1862~1925)のヴァイオリンで1914年クレモナ製です。
輪郭の形は丸みを帯びています。アマティを現代的に修正したという感じでしょうか?
アントニアッジ家はミラノのビジアッキとともに仕事をしました。ビジアッキはどちらかというと商人のような人でイタリアでは権力を持っていたようです。今見るとアントニアッジやビジアッキニの楽器にはアマティ派などの古いイタリアの楽器を研究した形跡が見られます。そのような名器をディーラーとして扱っていたのでしょう。ちょっと忘れましたが、フランス人も働いていたようです。
近代の
弦楽器製作りの基礎はフランスにあり、アントニアッジの楽器にもフランスの楽器作りの影響があるように思います。したがって、本当の古いクレモナ派の楽器を再現しているというよりは、当時の「最先端の現代的な作風と古いクレモナの作風を融合した」…そのようなものを目指しているように見えます。もしくは、本人たちは古いクレモナの楽器を再現したと思っていたのに、現代的な作風の呪縛を超えられなかっただけかもしれません。
アーチングは独特でミドルバウツのエッジ付近の溝がとても大きくえぐられています。それに対してアッパーバウツとミドルバウツはペッタンコになっています。これだけキャラクターが強いアーチだとさすがに音への影響は避けられないでしょう。
先ほどの「ハスキーボイス」の正体がこのアーチングなのかもしれません。クラシックの声楽家では通用しませんが・・それ以外は近代の楽器として特別変わったところはありません。
ちょうどもう一つ別のアントニアッジが店にあるので、そのうち修理をしてどんな音になるか楽しみです。同じような音になればアーチングのせいだということが確信に違づくでしょう。
このアントニアッジもはっきりとキャラクターのあるアーチングなだけに、もっと古くなったときに魅力的な楽器になるのかもしれません。
古いドイツのヴァイオリンこれが音が良くて驚いたドイツのヴァイオリンです。
作者はマティアス・ティアー(1736~1806)でウィーンで活躍した人です。
ティアー家は南ドイツのフュッセンの出身でシュタイナーをもとにした楽器を作りました。
その中でもマティアスはさほど細工の上手い人ではないそうです、それでも音には関係ないのですね。
この楽器の製作念はラベルには「1 」とだけ書かれていました。つまり世紀末に作られたラベルなので1800年前後でしょう。
高いアーチの楽器はニスが剥げやすいものです、両脇に残っているニスもオリジナルのものではなく後の時代に塗られたものでしょう。オレンジ色がまるでイミテーションの楽器のように見えます。
このように高いアーチでぷっくりと膨らんでいます。このようなアーチはピエトロ・ガルネリやバレストリエリ、モンタニアーナなど古いイタリアの作者にも見られます。
板の厚さを調べても特に問題になるようなところはありませんでした。200年も経っているので良い音がしてもおかしくありません。
気になる?お値段は・・こちらでの値段はロメオ・アントニアッジは500~800万円くらい、マティアス・ティアーは60~260万円くらいです。
マティアス・ティアーのヴァイオリンは見た目は特別美しくありませんが、構造に問題がなく18世紀の古いスタイルの楽器です。もしこの人がウィーンでなくイタリアに移住していれば1000万円くらいの値段がついたかもしれません。
それにしても60万円という値段はとんでもない安さです。相場の60万円~260万円というのも開きがありすぎます。私は古い楽器の売買について理解できないところが多くあります、手を出したくない理由です。
私も最近はだいぶ
弦楽器のことがわかってきたので技術者の目から見ればアントニアッジよりもティルのほうが明らかに格上の楽器だと思います。音響面の作りを技術的に見れば1000万円を超えるオールドのイタリアの楽器に遜色のないものだと思います。
だからといってティルが現代の職人より優れているというわけではありません。同じ作風でティアーを再現しても大した音にはならないでしょう。200年経っていることが重要なのです。家業が
弦楽器職人だっただけで特別こだわって作ったものでも何でもありません。
新作のイタリアの楽器でも日本では250万円くらいはします、100年経っているアントニアッジでさえかなわないのに、新作の楽器が勝負になるでしょうか?
ドイツの古い楽器は過小評価されているものがあります。しかし、詳しい人も滅多におらず、資料もありません。以前ドイツの楽器に詳しい人がいましたが、高齢で亡くなってしまいました。若い商人は流行らないドイツの楽器を知ろうともしないのでしょう、値段も評価も上がらないわけです。流行に敏感でかっこうつけているだけのタイプが多くてうんざりします。
単に「流行と違う」というだけで安く買えるのは音楽家にとっては魅力です。
以前紹介したセバスティアン・スクロッツも高いアーチでありながら音量に優れていて、音大の先生が購入しました。世界的なオーケストラで弾いていたヴァイオリン奏者の方も「力強い音」、値段が安いので「すぐに買うべき。」と言っていました。ちなみにその人は、気難しい世界的な指揮者と仕事をするのが嫌でやめてしまったそうです。もう少し小さなオーケストラのコンサートマスターを務め自ら指揮もしています。
100年経ったヴァイオリンのオーバーホール雑談はこれくらいにして本題に入ります。
ヴァイオリンが良い音がするのは天才の才能や努力でも、もちろんネームバリューでもないことが分かっていただけたと思いますが、100年も経ったヴァイオリンなら新品よりも有利です。問題は100年前の楽器がすべて音が良いというわけではなく癖が強かったり作りに問題があることも少なくないのです。
事例研究として今回は実際に100年前に作られたヴァイオリンをオーバーホールする過程とともに見ていきましょう。
ストラディバリの形をしているということはごく普通のヴァイオリンですね。クオリティは決して低くなく安価な大量生産品と違うことはすぐにわかります。
裏板も比較的良質な材料の一枚板が用いられています。塗装は薄っぺらいニスでアンティーク調になっています。
修理のために表板を開けました。作者の名前が書いてあります。
地名はザクセン州のマルクノイキルヒェンで、ドイツ最大の生産地でした。シュースター家も家族で工場を営んでいたのでしょう、シュースターという家は他にもあって
弦楽器に携わる仕事をしていました。マイスターの名前がついた楽器は珍しくたいていはストラディバリなのコピーラベルを貼っていたそうです。カール・ゴットロブ・シュースター・Jr.という人は個人としては名前が知られていません。
1916年と書いてありますから約100年前の楽器ということですね。
東ドイツからチェコにかけての地域は、19世紀後半から20世紀初めに大量に楽器を製造しました。フランス楽器製作の影響をうけてモダンヴァイオリンが作られました、弓も優れたものが作られました。チェコ側はイタリアの影響も受けています。ハンガリーでもフランスの影響を受けた楽器が作られました。
これらの楽器で特筆すべき点は値段が安いことです。
税抜きで考えれば60万円くらいでマイスター作のヴァイオリンが買えます。
この楽器もそのくらいの値段でしょう、たとえラベルが偽造であったとしても値段はそんなものです。もし偽造ラベルを張るのならもっと有名な作者のものにするでしょうからこれ以上詮索する必要もないでしょう。
現代のハンドメイドの新作ヴァイオリンは西ヨーロッパで150万円(税抜)くらいします。もし音が同程度であれば新作楽器に出る幕はありません。
ところが100年前の楽器なので作りに問題が無ければ新作よりはるかに音が良いこともあり得ます。日本で250万円以上で売られているような新作のイタリアのヴァイオリンなんて全く話になりません。
したがって、私たち現代のヴァイオリン職人にとって最もライバルとして恐れるべき存在です。しかし、「安物」としてバカにしていてその音の良さを認めていない職人も多くいると思います。事実として自分たちの楽器の音がそれほどでもないということ認めるべきだと考えています。もし「自分の楽器が優れている」と自信過剰でうぬぼれて改良を試みないのなら音で楽器を選ぶお客さんからは見放されていくでしょう。イエスマンの弟子に囲まれていたら裸の王様です。
見ためについては、明らかにザクセン派の特徴があり、大量生産の影響が色濃く出ています。ニスも天然樹脂ではなくラッカーを用いています。この楽器も100年たっているにもかかわらずオリジナルのニスがほとんど剥げていません。丈夫で硬いのでしょう。
硬いニスは音にも影響がありやはり、硬い音・・・金属的な耳障りな音になりやすいです。
ただ「とにかく音量」という人は少なくなく耳障りな音は強く聞こえ、心地の良い柔らかい音は静かに聞こえますから、これを音が良いと絶賛する人もいると思います。
したがって試演奏した時に新作の楽器は「鳴らない」という印象を受けて選択肢から除外されるということが起き得るのです。私はこのことを重く受けないといけないと考えています。
損傷や消耗している部分百年たっていますからそのままで健康な状態とは言えません、オーバーホールの修理が必要です。表板はこれまでに開けられたとはないようです。作られてから私が初めて開けたようです。
一番の問題は表板の割れです。これは割れてから時間が経っているようです。表板の下部には黒檀でできたナットという部品が埋め込まれています。表板は年月とともに縮んできますが、黒檀は縮まないために表板が割れてしまいます。これを防ぐためナットを付けるときは寸法きっちりにせずゆるくして左右の表板との間に少し隙間ができるくらいにします。
適当な修理で放っておくと割れが魂柱のところまで達してしまいそうなると修理が大変になります。
内側から見るとこのようです。
ペグの穴が大きくなりすぎているので新しい木で埋めます。スクロールの左側がひどく壊れています。このままでは売り物になりません。スクロールの仕事のクオリティは安価な大量生産品とは一線を画するものです。
指板は新しいもの交換されたのでしょう、厚みが十分にあり表面を削りなおせばそのまま使えます。しかし接着面があっていません。ネックを握った時に違和感を感じるほどずれていますので、外してきちんとつけ直します。
表板のエッジ大きく損傷を受けていてコーナーも4つすべて損傷を受けています。今の段階なら簡単に直せます。もっと損傷がひどくなると大変です。
バスバーはオリジナルですから作られてから100年近く経っています。木が朽ちてしまっているので交換する必要があります。
後は表板を接着するときに、ネックの角度を調整する必要があります。
新しく木材を付けた部分に塗装をし、ニスを磨き直します。
魂柱、駒、ペグ、テールピース、エンド品、弦、あご当てを新しく取り付ければオーバーホール完了です。
少なくとも20万円くらいはかかるんじゃないでしょうか?
残念なのは厚すぎる表板板の厚さを測ってみると、表板の中央付近が4.5mm程度あります。これは厚すぎです。
これは大変に残念なことです。
こうなると遠くまで音が届く、遠鳴りというのは難しいでしょう。それでも100年経っていることで耳元では強く感じられるかもしれません、新作の楽器なら対抗できる可能性は十分にあります。ホールでは響かなくても店頭では十分に可能があります。新作の楽器でも遠鳴りするとは限りませんし、価格差を考えれば有利であることには変わりはありません。
それでは私が、削って薄くするのはどうでしょうか?
これは難しい問題で、オリジナリティを尊重するのが修理の原則です。未来には今と異なるフィッティングや弦が開発され厚い表板のほうが望まれる可能性もなくはないです。もし、大量生産品なら削ってもいいでしょうが、一応マイスターヴァイオリンだとするとなかなか難しいものです。
古い楽器の問題は構造の問題に私が責任を持つことができないことにあります。
タイムスリップして作者に作り方を変えるように指示することはできません。
もしこれが1.0~1.5mm薄く作られていれば、本当に素晴らしい楽器になったかもしれないのですが、ザクセン派の楽器がすべてこのように厚い表板というわけではないのです。
古い楽器にも新しい楽器にも当たり外れがあります。私が作る楽器ならこういう問題が無いように作ることができます、しかし新しいために音はそれほどのものではありません。
この厚い表板でどんな音になるかも興味深いので、追いかけていきます。
損傷や消耗している部分
スクロールは新しい木を損傷した部分に取り付けました。
これを彫っていきます。型などはないので目の感覚で作るしかないですね。損傷しているので原型がわかりません。反対側を参考にするしかなさそうです。
丈夫のブロックが横板から外れているのが見つかりました。ネックの強度に影響があったかもしれません。にかわで付け直します。
バスバーを新しくします。これはよくある仕事なので、ルーティーンワークです。
割れた部分を接着した後木片で補強します。割れ目が見えないくらいにうまく接着できました。
表板のエッジとコーナーには新しい木を付けます。
・
・
・
・
修理は続きます。
クリスマスの休日になってしまうので完成はもうちょっと先ですが、100年経った楽器というのがどういう状態かわかってもらえたと思います。もちろん楽器によって全く状態は違います。ただこの楽器は内部の作りなどが、粗悪な量産品に比べるとよくできているので修理個所がそれほど多くなくて済みます。チェロになるともっと深刻な修理が必要なことが多いです。
修理と製作新しい木を取り付けた個所は加工しなおして、塗装も古いものを再現しなくてはいけません。修理の技術を極めるためにはは全く同じ楽器を作る能力が必須ということになります。時代や流派によって作風が異なり、場合によって作風を変えなければいけません。失われている部分は想像で補う必要すらあります。
楽器の製作と修理は密接な関係があり、修理から学ぶこともたくさんあります。
そういうわけで製作中のヴァイオリンの途中経過です。思っていたより一週間で進展がありました。来週には表面の処理以前の段階まではいくでしょう。改めて経過をまとめたいと思いますが、今の段階での途中経過です。
こうやって見るとずいぶん古くなっている感じが出ていると思います。
来週さらに完成度を上げていきます。お楽しみに。